「自分が愛されるはずがない」
「自分には生きている価値がない」
という幻想は、泥水を吸ったスポンジのように心の中で大きく膨らんでいき、
自分が嫌いなまま生きれば生きるほど、化け物のように育ってしまう。
前回、それは謙虚のようでいてとても傲慢な考え方だと書いたよ。
それは、他人が自分を大切にしてくれる気持ちを、
聞きもしないで否定してしまうような自己完結した考え方だから。
でも、傷ついてきたあなたがどうしようもなくその考えに陥ってしまうこともまた、当然だし、わかる、とも書いた。
なぜなら、何より私が、自己肯定感を高めるまでは、ずっとその「化け物」に支配されていたからだよ。
ではなぜ、私が、あなたが、
自分=生きる価値なし、愛されない
と考えてしまうようになったのか。
その原因について、私の実体験に基づく仮説を説明したい。
➀親から愛されていないと感じるような幼少期を送った。
A「絶対的な安心、唯一無二の愛と信頼を感じる情緒的なつながり」つまり、「愛着」が形成されなかった。
B成長期において、親の過干渉や命令、または無関心により、「親は親自身が望む理想を愛しているだけで、本当の私を愛していない」と感じるようになった。
②自分の親を「毒親認定」してしまい、大人になったり結婚したら、自分も彼らと同じような行為を家族にしてしまうのではないか、と恐れるようになった。
③幼少期、思春期の幼稚園、保育園、学生生活において、先生及び先輩、同学年、後輩との良好な関係を築けなかった。
④信じていた家族、恋人、友人に裏切られ、かつその傷が癒えていない。
どうだろうか。以上4つの条件のどれか、または全部に思い当たる点はないだろうか。
もし当てはまったものがあったのなら、私も、同じ思いをした仲間だよ。
その辛さは、十分にわかる。「人間は基本的に敵」と思ってしまうよね。
そして、僕らは一つの結論にたどり着いてしまう。つまり、
「傷つき責められてきたのは、全部自分が悪いから」
という自己否定だ。
今もその思いに駆られ、自分を責め続けているあなたへ、まずは、その痛みを、辛さを掲げながら、今日も一日を生き抜いたことをほめたたえたい。
あなたは、本当にすごいんだ。
そして、そのすごいあなたの苦しみを少しでも和らげたい。
では、どうすれば「自分には価値がない」という化け物を手離すことができるのか。
実はこの化け物を、離さないのはあなた自身でもある。
なぜなら、この化け物と一緒に暗い井戸の底に居続ければ、安心もできるんだ。
「責められ続けなければならない自分」には相応の「罰」が必要だと考えているから。
そして、どん底に居さえすれば、これ以上は傷つかなくて済むからだ。
怖いのは、また上がって落とされること。
「かすかな希望」は、「絶望」よりもよっぽど重い。
まず、あなたには、「自分自身を好きになる」必要がある。
しかし、それはいきなり一人では無理だ。
かつて私があなたと同じように、自分を軽んじ、大嫌いな自分を責め続け、「価値のない自分」であり続けることに辛いながらも安心する日々を送っていたときのこと。
カウンセラーの師匠であり、お世話になっている若者メンタルサポート協会の理事長でもある小杉沙織さんに言われた一言が、人生の転換点となった。
「井上さんは何にも悪くない」
その一言は、いきなりすべてを吹き飛ばしてくれたわけではない。
しかしこの一言が、その日いつまでもいつまでも胸に刺さったままだった。
そこから変われたんだ。
あなたには、あなた自身を変える力がある。
しかしながら、あなたにも、例えば子供が自転車に乗れるようになるまでの親の支えのように、自分を信じ、好きになるためには、誰かの一押しが必要かもしれない。
私は、それになろうと思う。
次回は、もっと詳しく、自分を好きになるためのステップを書いていこう。