高額すぎて行けないと思っていたセミナーや、
自分には高すぎると感じていたお洋服。
「行きたい」
「欲しい」
と感じて、つい手に入れてしまったということはないでしょうか。
不況だと言われて久しいですが、
銀座のチョコレートショップのパフェは2000円近くするのに、
連日大人気で行列ができるほどですし、
わたしのオフィスのある表参道も、おしゃれで贅沢なカフェほどにぎわっています。
節約しなきゃと思って、いつもはスーパーのチラシとにらめっこしていたとしても、
チョコレートのパフェが「食べたい」と感じたら、
少々無理しても食べたくなりますし、
キャンドルやアロマなど、実用的でないものにも、
ついお金をかけたりします。
わたしたちは、
「やらなければ」「やったほうがいい」など、
理性で判断しても行動できますが、
「やりたい」「欲しい」「かわいい」など、
感情が動くときには、無条件で行動します。
どなたもきっと経験があると思いますが、
「ほしい」という衝動を感じたときには、
やめるほうが難しいくらいですよね。
わたしたちは、頭で考えて行動すると思っていますが、
本当は違います。
感情が動いたときには、
自然と行動したり、現実が動くようになっているのです。
よくいただくご相談に、
「今までうまくいっていた仕事(または恋愛)が、
ぱったりと止まったように動かなくなった」
というものがあります。
もちろんご本人の意識は、「うまくいかせたい」と思っています。
「この仕事を受注できたら、経済的にラクになる」とか、
「今仕事を辞めるわけにはいかない」とか、
「彼と別れたくない」と、
考えていらっしゃいますので、
わたしから、「本当はやりたくないと思っていたりしませんか?」
と投げかけても、
最初は、「そんなはずない。なにを言っているのかわからない」
という反応をされる方が多いのです。
ですが、お話を聞かせていただくうちに、
「相手先の経済状況が悪いようで、支払いが心配」だったり、
「担当者とそりがあわない」だったり、
「彼が最近連絡してくれないので、やきもきしている」だったり、
状況に、ノーの気持ちを自分が持っていることに、気づいていかれます。
スピリチュアルなマスターたちは、
「マインドの声ではなくハートの声をききなさい」と教えます。
理性であれこれ考えていることより、
心で感じることのほうがずっと力をもっているからです。
つまり、理性でどんなに、
「うまくいかせたい」
「仕事をとりたい」
「早く結婚したいから今の彼と別れたくない」
と考えていたとしても、
結局は、ハートから出てくる感情、
「好き」とか「嫌い」みたいなシンプルな思いのほうが現実を動かすのだと、
わたし自身も、たくさんの方をみてはっきりとわかったのでした。
今までのセラピーは、
「悲しみの感情を手放す」とか「怒りを手放す」といった、
感情を手放すものが多かったのですが、
もしかしたら、それも変わってくるかもしれません。
悔しさをバネにビジネスで成功した方もいらっしゃいますし、
社会への怒りを、政治という分野で変化のエネルギーに変えるという人も、
悲しみを音楽で表現することで、人の悲しみをも癒していくというアーティストもいます。
喜びや、好きとか、欲しい、という感情以外に、
怒りや悲しみも、現実を動かすパワーであることは間違いありません。
今はどちらかというと、「ネガティブ」と考えられている怒りや悲しみのエネルギーを
消し去ろうとする方向にあるので、
そのせいで気持ちが沈んだり、
生きる気力を失ってしまっている方も多いような気がします。
怒りも、悲しみも、恨みも、
やっぱり生きるエネルギーなので、
それを活かしていければと、わたしは考えています。
もちろん、感情を外に向けて放つことは、意味のないことです。
誰か別の人や、特定のできごとに対して「けしからん」と思っていては、
自分のために使うことはできないからです。
これからの時代は、感情のエネルギーを、
現実を動かすエネルギーに変えていくようになっていくでしょう。
わたしたちの周りに起こることに、無駄なことは何ひとつありません。
それがたとえ、ネガティブな感情であったとしても。