カルマという言葉をお聞きになったことがあるでしょうか。
カルマというと、一般的には
「逃れられない恐ろしい宿命」というイメージを持つ方が多いようです。
たとえば、
「前世でひどいことをしてきたので、今世は償いのために生きると決めてきた。
だから、度重なる苦労が襲うのだ」
この場合の「前世でしたひどいこと」を「カルマ」と呼ぶことがあります。
もちろん、「前世でたくさん徳を積んだから、今世はラクして幸せでいられる」という場合の、
「前世で積んだ徳」
もカルマと言えるでしょう。
ですが、カルマは、単に「起こった事実」であって、
「いい」「悪い」という判断とは無関係です。
「自分のまいた種を刈り取ることになる」という言葉にたとえられるように、
カルマは、種です。
小麦の種をまけば小麦を、
ぶどうの種をまけばぶどうを、
米をまけば米を、
いずれ収穫するように、
自分が投げかけたものを受け取ることになるという教えです。
自分がしたことは、償わなければならない。
これが「カルマの法則」と呼ばれます。
「カルマの法則」を信じている人は、宿命という種の結果（実）からは逃れられないのが運命で、
諦めるしかないのだ、と考えています。
カルマの法則に基づくなら、
親を愛することができなかったら、
約束をやぶったら、
不倫をしたら、
暴力をふるったら、
わたしたちは償い続けるしかないのです。
では、カルマの法則から逃れることはできないのでしょうか。
すでにたくさんの過ちをおかしたと感じている人は絶望的な気分になりますよね。
わたしも実際に長い間、償いきれないカルマの重みに絶望していたひとりです。
実はカルマの法則には特徴があります。
カルマの法則は、信じている人に適用されるということです。
あなたが、カルマの法則を信じていれば、この法則の影響を強く受けます。
わたしたちは潜在的に、苦しみ、哀しみ、我慢、忍耐など、「苦」を好んで選ぶ傾向があります。
顕在意識では理解しがたいですが、わたしたちは実は「償い」を好みます。
わたしたちは、生きているときにしか「苦」を体験することができないからかもしれません。
わたしたちの周りには、「苦」をテーマにしたドラマやドキュメンタリーがあふれています。
ハッピーエンドが好きなのは、生まれてからの時間がまだそれほど経っていない小さな子どもと、
実際の人生で苦しみをさんざん味わい尽くした人くらいです。
苦しみを乗り越えた向こうに、成功がある。
償いをしたら、幸せが手に入る。
わたしたちは、実は、
「カルマを償うことで幸せになれる」
というカルマの法則のストーリーが好きなのです。
ですが、実際にはカルマの法則は、絶対ではありません。
カルマは種だといいました。
種は、芽が出て育たない限り、収穫することはできません。
カルマという種が「因」、起きる結果が、「果」だとすると、
種をまいても、育てなければ、「果」は得られないことになります。
「育てる」という行為は、
カルマの法則を信じることであったり、罪悪感であったりするようです。
あなたが、カルマという種、宿命という種に力を与えない限り、運命という結果は起こりえないということです。
そして、芽が出ないための、もしくはすでに育っているカルマの木に実を結ばないようにするための方法が、
『A Course in Miracles（奇跡のコース）』で取り上げられる「Atonement アトーンメント」です。
『A Course in Miracles』が出版される前に書かれたエドガー・ケイシーの本でも
Atonementは取り上げられ、日本語では「恩寵の法則」と訳されています。
神にゆだねる、神とひとつの自分を生きる。
たったひとつの意識（ワンネス）を生きる。
そのときに、神からもたらされるゆるしが,
「Atonement アトーンメント」と言っていいと思います。
つまり、「カルマ」は、自分で償うことであるのに対し、
「Atonement アトーンメント」は、神がしてくださるゆるしと言っていいと思います。
あなたには、カルマを自分の力で解消していく、「償い」という道と、
神による、すべてのカルマを消滅させるゆるしという「Atonement アトーンメント」が用意されています。
わたしたちは、どちらを選んでもいいのです。
もし、あなたが生きづらさを感じていて、あなたの過去を償いきれないと感じていたなら、
恩寵の法則を思いだしてみてください。
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