前回のコラムでは、自分の中にある「苦しい原因を分析する意味」の大切さを述べた。
今回は、自分の問題を分析する手段について、もう少し触れたいと思う。
自分の心の問題を知るやり方は、人それぞれで、その人の性質に合ったアプローチがある。
それを見極める一つが、負債と資産。
つまり、自分の『長所と短所のバランス』だ。
二つだけ例を紹介する。
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一つは、利己的で高慢な性格で失敗するタイプ。
このような人には、徹底的に負債を確認するプロセスが求められる。
「アディクトは他人に怒りをぶつけて、他人をスケープゴートに使って、自分自身の恐れや不要な怒り(欠点)を包み隠す。」
※季刊Be!145号 「怒りの半分以上は、過去の怖れから来ていた (文 藤原秀博)」より
[語句の意味]
・アディクト…依存症者。ここでは主にアルコール依存症者を指す。
・スケープゴート…防衛規制の一つとして不満や憎悪、責任を、直接的原因(ここでは自分)に向けるのではなく、他の対象に転換すること。その転換された対象を指す。(身代わり)
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恨みが強いタイプの人間は、他人を恨むことで、他人に非をおしつけている。そうすることで、自分や他人を傷つけたことによって生じる罪悪感や後悔から逃れられるからだ。
けれども、自分自身の過ち・欠点(苦しみのもと)を包み隠し、他人をスケープゴートに使うことは、不健全なやり方で心が枯れていってしまう。
このような性質の人は、徹底的に自分の短所や欠点を見つめる方法がいいと言われている。主に、失敗の原因となった自分の欠点を探すことが、問題解決の近道になるだろう。
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もう一つは、自分の存在価値が感じられないタイプ。
非難されるとすぐ凹んでしまう、私みたいな人である(笑)。
このような性質の人は負債を確認するために、まず資産を見つけ出す必要がある。自分の負債を見る以前に、資産をみないと潰れてしまう状態だからだ。
つまり、自分の短所や欠点を見つめ直す前に、自分の長所を見つけることが大切になる。
とくに大きなトラウマを抱えている人は、第一に、傷ついた心を癒すプロセスが必要になるだろう。
そうしてから、自分の短所や欠点を見つめ直していけばいい。
※推薦本「あなたは何も悪くない(岡田沙織 /現 小杉沙織 サンマーク出版)」
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このように、先述した二つの異なるタイプの人は、自分を変えるためのプロセスも異なる。
人は自分の対応を変えると、人生も変化する。
人生に対する対応をこれまでと同じにしたままで、違う人生を望むことはできない。
ただ、変わることは決して容易くはない。
だからこそ、今の自分を変えたい時は、自分の性質に合った『相談者』と『やり方』を探してほしいと願う。