コロナ禍において、深刻化しているのが、オンラインゲームやインターネット依存と言えるでしょう。
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ゲーム依存症の正式な病名は「ゲーム障害」です。ゲームへのめり込むと、学校・仕事・お金・家族・脳や体など、生活そのものに問題が生じてきます。ゲーム障害は以下の4項目から診断されます。
① ゲームのコントロールができない
② 他の生活、日常活動よりもゲームを優先する
③ 問題が起きているがゲームを続けて、より多くゲームをする
④ ゲーム行動パターンが重症で、個人・家族・社会・職業など、他の重要な機能分野において著しい障害を引き起こしている
上記4項目が1年以上続く場合は、ゲーム障害と診断されます。
(重症の場合はそれより短くとも診断可能)
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それはゲームが脳に快感・刺激の記憶を与えて、渇望サイクルを繰り返すからです。
依存症は病気であり、脳に大きな影響を与えます。
(「依存症」って何ですか?のコラム参照)
脳の前頭葉の機能が落ち、感情や欲望がコントロールできなくなっているのです。
決して、当人の意思の問題だけではないことを理解してほしいと思います。
そして、ゲーム自体も悪い影響ばかりではありません…
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「"ゲーム依存になっているわが子"を何とかしたい!」と、奮闘されている保護者の皆さん。
敵を知らずして、立ち向かうことはできません。
まずは、「ゲームにのめり込む理由を知る」ことから始めてみてください。
ゲームにのめり込む理由は、実は単に「楽しい」からだけではありません。
現実世界の「生きづらさ」からの解消のためだったりします。
アイテム入手やランキングなど、現実世界よりやったことが目に見えて評価されて、承認欲求が満たされたりします。
オンラインゲーム内の仲間とのやりとりが唯一の心の支えで、ゲームの世界が大切な居場所になっている場合もあるのです。
リアルで何らかの問題を抱えている可能性もあります。
周囲の人から見れば「ゲームをする=問題行動」でも、当人にとってはゲームの世界自体が、「一時避難の"救い"の場所」になっていたりするのです。
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ゲーム依存でひきこもるわが子に対して、親はなんとかしようとします。
ゲーム機を取り上げたり、ネット回線を遮断するという強硬手段をとりがちです。
しかし、そのような対応は、暴言・暴力・家出・自殺未遂など、生命にかかわる状況になることも考えられますので、私はお勧めしません。
理由は前述のとおり、当人にとってゲームをすることが、生きづらさからの解消法であり、人生にとって"救いや支え"になっている状態かもしれないからです。
また、ゲーム=悪でもありません。目標達成能力や反射能力など、ゲームを通じて培える能力もあります。
だからといって、決して、ゲーム障害の人を放置していいと言っているわけではありません。
私がゲームを擁護する理由は、「子どもの依存症予防・回復」にとって、"親子間の建設的なコミュニケーション"が大切だからです。
親が頭ごなしにゲームを否定していたら、コミュニケーションがとれなくなってしまいます。
子どもは困った時、トラブルに巻き込まれた時、親に相談できずに、どんどん隠れて危険なゲームにのめり込んでいくかもしれません。
だからこそ、親はゲームについての良い面を知って、子どもの話も聞いてあげてほしいと思います。
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愛=関心
愛ある行動とは、関心をもったうえでの行動。
これは、私がいつも伝えていることです。
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「わが子がなぜゲームにのめり込んでいるのか?」という、関心をもってあげてください。
これは、不登校や、ひきこもる子をもつ家族にも、同様のことが言えると思います。
私自身、現実社会で夢をもつことが出来ず、心が折れていた頃、ゲームに没頭してひきこもったことで救われた経験があります。
ゲームの主人公の言動に勇気をもらい、ゲームの物語に希望をもらって、現実社会で生きる気力を取り戻したのです…
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「"ゲーム依存になっているわが子"を何とかしたい!」と不安に思っている、保護者の皆さん。
親自身が、不安や恐れに埋没していたら、本当にわが子のためになる対応なんて出来ないのではないでしようか…
まずは、ご自身の中で肥大している、"不安や恐れ"について対処してほしいと私は願います。
そのためにも、家族だけで抱え込まず、困ったら助けを求めましょう。
(精神保健福祉センター・専門医療・自助グループ・家族会など)
ゲームにのめり込む理由やゲームの特徴を知り、家族の対応の仕方などが分かるだけでも、自身の心が落ち着くかもしれません。
人間は「知らないもの」こそ、不安を抱く生きものです。
だからこそ、分からない時は一人で悩まずに、相談に行きましょう。私自身もそうするように、日々、心がけています。