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ブラック支援に愛がない理由 藤原秀博
2023/12/27 生活

【引き出し屋とは】

2023年9月、『ブラック支援』という書籍が出版された。本書は、ひきこもり支援をうたうビジネスの現場を追い、求めれる支援のあり方を探っている。

ブラック支援と呼ぶに値する分かりやすい事例に、『引き出し屋』がある。

 

※引き出し屋または引き出し業者…就学や就労をしていない中卒、高校を中退した「引きこもり」や「ニート」、児童・生徒であれば「不登校」の状態にある人の自立支援または通信制高校への進学に特化した全寮制のフリースクールで悪質なものを指す。それらは、家族や親族からの依頼を受けてはいるものの、当の引きこもり者の元へ予告なく訪れ、当事者の了承を得ないまま自宅(自室)から連れ出し、団体が運営する寮に入所させるという手法を用いている。

なかには反社会的勢力、カルト宗教、極右の政治団体、悪質な精神病院とのつながりを持つ業者や団体もあり、拉致・監禁や就労(中卒、高校中退者であれば、通信制高校への進学または高卒認定試験の受験)の強要、数百万円から数千万円もの極めて高額な授業料を請求するなどの被害が報じられている。

先生の言うことを聞かない、指示に従わない、スクールの教育方針に従うことができない生徒は精神病院(それも閉鎖病棟)に強制入院させられ、入院先の精神病院から入院治療費と食事代に加え、1日数十万の高額な特別個室のベッド代が請求される。    (Wikipediaより)

 

 

 

 

【愛がある支援とは】

愛=関心

と以前のコラムで述べた。

したがって、『愛』の反対語は『無関心』になる。

そして、もう1つ『恐れ』が隠れている。

 

ひきこもる本人に関わる時、愛情がある支援者は最低でも

『この人はなぜひきこもり続けているのだろうか?』

と真剣に考えて、その人の状態に関心をもつはずである。

 

『愛=関心』がある支援者ならば、本人の同意なしに、複数で突然部屋に入り、長時間、結論ありきの「説得」をして、たった一日で連れ出せるわけがない。

 

親・家族側の意見(恐れ)を丸のみして、ひきこもる本人には『無関心』で物事を決めつけているから、非人道的な拉致・監禁などまで行われてしまうのだ。

 

引き出し屋被害は「就労をゴール」として、家族の将来への恐れ・不安と、支配欲があり金儲けを企む業者の思惑が一致して起きてしまう。

 

だから、ひきこもりの定義に該当せず、単に数ヵ月求職中の人や、親の理想とは違うだけの人までが被害にあっている。

 

つまり、引き出す対象者(本人)の意思や状態に無関心な人がトラブルを起こし、裁判で訴えられているのだ。それも氷山の一角にすぎない。

 

 

 

 

【一面しか見られないリカバリー】

リカバリー(回復)には以下の内容が考えられる。

※希望する人生の到達を目指すプロセスがパーソナル・リカバリー(personal recovery)であり、このパーソナル・リカバリーは、他者との関わり、将来の希望などの主観的リカバリー(Subjective recovery)と、一人暮らし、就労などの客観的リカバリー(Objective recovery)に分けられていた。『本人のリカバリー100 の支え方 精神保健従事者のためのガイド』では、人としてのリカバリー(Personal recovery)とは、「個人の態度や価値(本人にとって大切なこと)、感情、目標、技術や役割が変化していく過程のことで、これはとても個人的で、人によって異なる過程」(Mike Slade,2016,p.6)とされる。つまり、「当事者(精神保健サービスユーザー)の価値観を基軸にしながら形成された支援や治療の過程をリカバリー(あるいは主観的リカバリー)と呼び、リカバリーを重視して行われる支援実践はリカバリー・アプローチ」(熊谷晋一郎,2018,p.4)と言う。〜中略〜 就労は客観的なリカバリーを達成できるが、主観的リカバリーを達成できるかは不明である。    (ひきこもり人権宣言10頁より)

 

このことから、まさに引き出し屋トラブルは、本人の『主観的リカバリー』を軽視して、『客観的リカバリー』ばかりに重きを置いていると言えよう。

 

 

 

 

【ブラック支援の被害にあわないために】

引き出し屋被害を食い止めるためには、家族の不安を受けとめて併走しながら歩む支援が必要で、そういう支援に導くための「地域の窓口」が必要である。

 

家族は、自分の恐れの衝動で動かないことが大切であり、とくにひきこもりに関しては家族からの相談が多いため、社会全体で家族支援に力を入れることが急務だ。

意義のある家族支援は、ひきこもる本人の支援に繋がる機会を増やすことだろう。

 

そして、私自身が支援者の立場である以上は、自身の承認欲求や、生活できなくなる恐れを埋めるために行動しないことを決心している。

 

支援対象者に、愛=関心のある単なる人(仲間)で、私はあり続けたい。

 

 

 

 

 

 

◉「ブラック支援 狙われるひきこもり」高橋淳 [角川新書] 

https://www.kadokawa.co.jp/product/322104000607/

◉KHJジャーナル「たびだち」(情報誌)107号 高橋淳記者、藤原秀博対談記事

https://www.khj-h.com/papers/our-newspaper/

◉「ひきこもり人権宣言」暴力的「ひきこもり支援」施設問題を考える会

https://note.com/bouhikimon/n/nbd360e7316d8

この記事を書いた人
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藤原秀博

1977年生まれ、神奈川県横須賀市出身。X JAPANのギタリスト故HIDEと同じ小学校在学。学生時代にイジメ・集団暴行を受けて対人恐怖症になり、不登校・ひきこもりへ。過去に最高体重128キロ、4ヶ月で40キロのダイエットをした事により摂食障害にもなる。障害者スポーツの指導員·カジノのディーラー·探偵業などの経歴を持つ。現在は会社員をしながら、ピアカウンセラーとしてトラウマ・機能不全家族・ひきこも... >>続きを読む

 

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