前回のコラムでは、否定的な感情を正しく使う話をした。
「恨み」という感情が起きた時、自分自身を点検させて、向上させるエネルギーへと変換させる。
恨みの感情から起きうる、『競争本能』があるからこそ、人々は発見や発展をさせることができた。
一つ例をあげよう。
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[例]ソ連の科学者が作った人工衛星、スプートニクが世界の上空を回った時、アメリカ国民はショックと共に恨みを覚えた。それから、アメリカは月へ行くための技術開発に乗り出す。もしロシア人がスプートニクを作らなかったら、おそらくアメリカも月に到達することはなかったかもしれない。
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この恨みからわき上がった一つの要素。
つまり、『競争心』というエネルギーが現代社会を生み出してきたのだ。
人間は地球上で唯一、複雑な感情的性質を持った生きものである。
恨みを直視すれば、嘘(とらわれ)から解放される。
真実は私たちを自由にし、力を生み出して行動へと移させる。
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ただ、皮肉なことに、このプラスに思える力と行動・その結果ですら、10年もすれば時代遅れのものになってしまう。
現代社会に生きる人は、不幸にも人間の“目的地”を見失ったまま、新たな競争によって進み続けている。
プラスのエネルギーに換えた『競争心』が生んだ成功ですら、実は本質的ではない。
これに気づけるかどうかが、一番重要なのである。
決して、無気力になれという意味ではない。
普段から、自分に都合が良い結果を求めて行動していたら、誰だって苦しいし、争い続けてしまうという意味合いだ。
それはつまり、成功や勝敗、結果への「執着心」の有害性。
苦しみを乗り越えたリーダーたちが陥りやすい、「落し穴」と言えるかもしれない。(若き支援者にも多く見られる)
社会には、苦しみから抜け出して、やっとの思いで、「喜びや成功を掴んだ者」がたくさんいる。
しかし、その成功や勝敗に執着しているうちは、結局またどこかで、新たな苦しみや争いを生んでしまう。
そのことに気づかないのが、人間の愚かさだ。
そして、ここから先は、『魂からの回復』の領域になる…