「怒りっぽいパートナーをなだめていたら、パートナーの怒りがエスカレートしてきた」
「嫌な上司の機嫌をとろうとしていたら、ますます上司が威圧的になってきた」
という経験はありませんか。
いくら、相手のことを否定しないで、
「あなたのおっしゃるとおり!」と言ってみたところで、
あなたが本当にそのように思っていなければ、それは相手に確実に伝わりますし、
もしうまく、相手がそう思ってくれたとしても、
「ほら、オレの言った通りだろう」となって、
ますます、エスカレートしてしまいます。
それになにより、あなた自身が思っていないことを口にすることは、
口にするたび、ストレスに感じることでしょう。
不愉快な相手の機嫌をよくすることは、可能です。
「すごくいい気分でいたのに、とんでもなく態度の悪い店員に出会ってしまって、
気分が台無しになった」とか、
「たくさんおいしいお酒を飲んでご機嫌で帰ってきたら、
パートナーがすごく怖い顔で待っていて、青ざめた」とか、
「すごく落ち込んでいたけれど、友人と会った瞬間に、癒されて気持ちがほっとした」
とか、
わたしたちは、自分以外のなにかに触れて、
気分が変わるという体験をしたことがあるでしょう。
わたしたちの感情は、人間関係の中で相互に影響しあっています。
ですから、自分の態度が相手の不機嫌をご機嫌にすることも不可能ではないのです。
ですが、相手の気持ちは、相手の都合で決まるものです。
相手の機嫌がなおる難易度は、そのときの状況によって異なりますので、
そのことを知っておく必要があるでしょう。
また、相手の気持ちに振り回されやすい人は、
相手の顔色だけをみてしまうクセがあるようです。
「相手の気持ちを変えることができる」という過度な期待があると、
必死になりすぎて、疲れてしまいます。
わたしは、今までに何人か、一緒にいるだけで癒される、
人間関係の達人にお会いしたことがありますが、
その方々には、共通点がありました。
それは、「相手の態度によって、自分の態度を変えない」ということです。
それは、「我を押し通す」ということではなくて、
相手がどうあろうと、感じよく、ふんわりと笑顔でいらっしゃるのです。
そして、ある先生からは、
「相手がすばらしい」と誉め称えることはしないで、
「自分自身がすばらしいから、相手も同じようにすばらしい」と思うようにしている、
つまり、「自分がすばらしい」が先なのだ、と教わりました。
自分がすばらしいなら、自分の選ぶ態度は、すばらしい自分にふさわしい態度になる、
ということなのかもしれません。
だから、相手の状態に振り回されて、ブレたりしないのでしょう。
誰かの機嫌をとりたいと思ったら、
まず、遠慮しないで、あなたの機嫌をとりましょう。
状況がどうあっても、あなたがご機嫌でいることが、
周りをご機嫌にしていく確実な一歩になるのです。