「愚痴は、言っても聞いてもいけない」
わたしはビジネスを教わった先生にそう言われてきました。
「(愚痴を言わないと)気分が悪くて死にそうだというなら、死になさい」
というくらい、厳しい教えでした。
「愚痴とか泣き言というのは、それくらい、まわりに迷惑をかけるものなのだよ」
という意味だったのだと思います。
その先生から教わったのはもう20年くらい前になりますが、
当時のわたしには衝撃でした。
わたしはまだ会社員で、あたりまえのようにお昼休みの休憩室は
会社に対する不満や愚痴でいっぱいだったからです。
わたし自身は他の同僚とは年がずいぶん離れていたこともあって、
愚痴や不満は聞く側でしたが、
「聞いてもいけない」という教えには、まだピンとこないところがありました。
ただ、その場にいるとなんとなく居心地が悪かったので、
休憩室で過ごすのはやめて、本屋さんやカフェで過ごすようにしていたのはたしかです。
「愚痴を聞くのは疲れる」というのは、薄々は感じていたのだと思います。
「愚痴は、言っても聞いてもいけない」という教えに触れてからは、
自分でも意識して愚痴や不満から距離を置くようになったので、
ますます休憩室の居心地が悪くなりました。
わたしのまわりから愚痴が聞えなくなったころ
不思議なことにスカウトがきて転職することになったのでした。
しかも、転職は無理と言われる年齢を過ぎて、会社も待遇もずっといい条件で。
スピリチュアルなコーチングの仕事をするようになって愚痴からはしばらく遠のいていたわたしですが、最近気づいたことがあります。
よく「引き寄せの法則」などの本で紹介されていますが、
裕福な人、うまくいっている人は、愚痴や泣き言が嫌いです。
ご本人も口にしないし、そういう人とは距離を置いています。
話もあわないし、なんとなく居心地が悪かったりもするし、
なにより、「その人のためにならない」と知っているからです。
「うまくいく人」の特徴は、
うまくいかないことに、こだわらないこと。
「うまくいかない」というのは、うまくいかないことに
こだわり続けることなのかもしれません。
聞く側も、愚痴や泣き言を持っている状況のときには、
ストレスなくそれを聞くことができるようで、
お互いに愚痴を言い合いながらすっきりする、というパターンもまた
「引き寄せの法則」のひとつの形かもしれません。
でもたいていの場合、愚痴や泣き言を言いたいときは、
その状況を変えたいとき。
そんなときは、「愚痴や泣き言」をいう人ではなく、
「うまくいっている人」に聞いてもらいたいと思うものですよね。
「うまくいっている人」は愚痴や泣き言は嫌いなものですが、
なかには、聞いてくれる人もいます。
その吐き出された愚痴のゆくえを観察してみると、
聞いてあげた方は、
持ちきれずに他の人に言うことで発散する(うわさ話)、
食べたり、買い物したり、旅行したり、お金を使うことなどで解消する、
人にしゃべったり発散したりしない人は、体調を壊す、
たいてい、この3つのパターンで引き受けているようでした。
そして、困ったことに、口にした方のほうは元気になるかというと、
そうでもありません。
「愚痴」はやはり「愚痴」。
前向きな解決に踏み出すまでは、重たいエネルギーとして
言った方にも残っているからです。
それでは、重たいエネルギーのストレスをまわりに
増やし続けるだけになってしまいます。
「愚痴は、言っても聞いてもいけない」
友人との関係は、その気安さから、特にそうなりがち。
「よかれと思って聞いてあげる愚痴」
「つい口にしてしまう泣き言」
自戒をこめて、気をつけたいと思ったのでした。