
第1回では、空気を読み過ぎて相手やまわりの空気に動かされているように感じる
「やらされ感」についてお話ししました。
2つめの理由として、「損」ということも大きな要素でしょう。
自分が空気を読む → 相手やまわりのために行動
相手やまわりも空気を読む → 自分やまわりのために行動してくれる
このような関係だとすると、お互いを思いやり合って、あたたかい配慮のある居心地の良いグループですよね、きっと。
天秤が釣り合っている( 偏りが少ない )状態ですから、とってもバランスがいいですね!!
ここでちょっと思い返して欲しいのですが、あなたとおなじくらい空気の読める人って、
どれくらいの人数、その場にいるでしょうか?
全員ですか?
半分くらい?
2、3人?
もし全員だったら、あなたが空気を読み過ぎて辛いなんてことはないでしょう。
あなたが気づく前に、別の人が気づいて動くケースもたくさんあります。
空気を読んであなたのことを、みんなでサポートしてくれることでしょう。
半分くらいいたら、ラクができそうでしょうか。
お互いの思うことやタイミングなども近く、まとまった力強いエネルギーで推進力のあるグループになっていそうですね。

どうでしょうか?
そんなにたくさんはいませんよね?
いるはずがないのです。
……だから大変なのではないですか?
こうした空気を読むということは、1つの能力、才能です。
誰でもがおなじように持っている、使っている能力ではないと思います。
いつも気づくのは、おなじ人ではありませんか?
それが次のようになると、バランスが崩れます。
相手やまわりは空気が読めない → 自分のために何もしてくれない
それなのに……自分はいつも空気を読んで行動する → 相手やまわりがラクをしているように感じる
相手やまわりが空気を読んで行動してくれないとすると、
いつもあなたが空気を読んで行動することになってしまいます。
これが何度も繰り返されると、あなたの役割になり、そのグループのパターンになります。
あなたがいつも空気を読む
→ その場での役割が生まれる
→ たまたま誰かが先に気づいても、「あの人がやるだろう、言うだろう」
とまわりが遠慮( 配慮、押し付け、責任放棄…… )して、あなたの役割が守られる
→ あなたが空気を読んで行動する
役割になるということは、何度も繰り返されているということ。
繰り返されるということは、自動化されたパターン( 習慣 )があるということです。

感謝される
( 空気を読む行動 = 感謝されるので嬉しい、みんなに承認される )
表彰されるような名誉がある
( 空気を読む行動 = 誇り、能力の証明 )
出世や給料といった評価につながる
( 空気を読む行動 = 報酬、将来の出世 )
いつもお世話になっているので、当然のことだと思える
( 空気を読む行動 = お互い様 )

たとえばここにあげたように、天秤のバランスをとるようなことがあるとすれば、
まわりのために空気を読んで行動することを、自分の役割として積極的に受け入れられることでしょう。
そこには空気を読むということのポジティブな意味が存在します。
けれどもあなたが空気を読んで行動するだけで、相手やまわりが空気を読んで行動しない。
さらに報酬や対価もないとすると、錘( おもり )をのせた天秤は「損」側にかたむいたままになります。
空気を読んで行動すればするほど、錘は増えていく構造ですから……
そこには満足感や納得はありません。
不平等感や不満を感じたら、それは「損している」ということでしょう