桜の開花とともに、新しい年度や生活を迎えた人も多いのではないでしょうか。
春は寒暖の差や環境の変化、人の入れ替わりなどもあり他の季節に比べてストレスをためやすい季節です。
そして、4月にじっくりと溜め込んだストレスが、表に出てくると、いわゆる「五月病」と呼ばれる状態に陥りやすくなります。
私たちが思っているよりも、気候の変化は身体に影響を与えます。天気や気温、湿度や気圧など、
外界が変化をしていく中で、体調が崩れないように身体を整える役割を持っているのが「自律神経」です。
しかし、季節の変わり目の時期は、寒暖の差などもあり自律神経にも大きな負荷がかかります。
あわせて、職場や学校などの環境も変化し負荷が高まると、自律神経が変化に対応しきれなくなります。
こうした自律神経の乱れにより、体調不良やメンタル不調が引き起こされます。
厚生労働省によると、1996年には国内で43万強だったうつ病など気分障害の患者数は2008年に100万人以上に増加しています。
以前に比べて、うつ病の認知も広がってきていますが、うつ病であることをオープンにしたくない方は少なくありません。
うつ病はなまけ病やただの甘えだという声も依然存在します。
そもそも、うつ病は未知な面もありますが、脳の働きに何らかの問題が起きた状態と考えられています。
脳の中では、様々な神経伝達物質が働いていますが、
その中でもセロトニンやノルアドレナリンなどの働きに問題が起きた状態がうつ病であると言われます。
うつ病なのか、それとも、ただ単に気分が落ち込んだ状態なのかを見極めることは、様々な研究がなされていますが、
血液検査のように数値で測ることがまだ難しいと言われます。そこで、様々な症状を総合的に判断をしていきます。
症状の出方などは人に様々ですが、大きく分けて「気持ちの変化」と「行動の変化」と「身体の変化」に表れると言われます。
下記の症状などで、いつもはあまりないような症状が出るようになり、2週間以上継続するようでしたら要注意です。
ストレスというと、悪いものというイメージが就きやすいですが、時には嬉しい出来事でさえも、ストレスにはなりえます。
楽しい旅行の後に家に帰ると、どっと疲れるようなことはありませんか?他にも昇進したり、希望の進路を迎えたりした時は、
環境の変化が起こっています。ストレスが段々たまると、上記の症状が現れやすくなります。
しかし、ストレスをゼロにすることはおそらく不可能です。
また、ある程度のストレスは自分自身のパフォーマンスを高めるカンフル剤のような役割もあるので、
ゼロにすることを目指すのではなく、上手に付き合っていくことが求められます。
ストレスとの付き合い方については、世の中にもたくさんあふれているので、自分に合ったものを探してみてください。
ここでは長期的な視点で考え、「睡眠」「食事」「運動」のバランスについて考えます。
長時間の睡眠をとることを目指すよりも、自分にとって質の良いと感じられる睡眠を目指してください。
以下の3つのポイントに気を付け、それでも改善がなかなか見られないようでしたら、我慢をせずに心療内科の受診なども考えてみてください。
薬への依存を心配する方も少なくはありませんが、自己判断をせずに医師と相談をしながら服薬することで防げることも多いです。
栄養素のバランスを考えることも大切ですが、まずは食事を楽しんでください。ここでは、先に挙げたセロトニンの生成を助けると言われている食材を紹介しますので
チーズ、ヨーグルト、納豆、投入、ごま、バナナ、肉、そば、きなこ、まぐろ、にんにくなど
日本では、国民の健康づくりとして「健康日本21」という運動を進めています。その中で、1日10,000歩の運動が推奨されています。体重や年齢などにもよりますが、約300Kcalの消費活動に相当します。ストレスがたまると身体は緊張し固まりやすくなります。身体を動かすことは、緊張した身体をほぐすことにつながるので、無理のない範囲で階段を使うようにしたり、少し遠回りをして帰るなど、行動増加を心がけてみてください。なかなか難しい人は、食事の時に良く噛んで食べることなどを意識してみてください。
大切なのは、すべてしっかりこなそうとするのではなく、「ちょっとやってみよう」としてみることです。自分にとって有意義と思えることを取り入れることが、ストレスとうまく付き合う第一歩です。
自分でも、気付かないうちにストレスをため込んでしまう人が多くみられます。身体と心が無理をしすぎないように意識しながら、ぜひお過ごしください。
NPO法人日本オンラインカウンセリング協会 理事 中村洸太(臨床心理士)